
子供のコミュニケ-ション能力が低下している原因と対策とは?

最近、「うちの子、友達とあまり話さない」「会話が続かないみたい」といった悩みを持つ親御さんが増えています。
学校や習い事など、子ども同士が集まる場面でも、言葉によるやりとりがうまくできない子が目立つようになりました。
これは一時的な問題ではなく、「子どものコミュニケーション能力の低下」が深刻な社会課題になっていると言われています。今回は、その原因を探り、家庭や日常でできる具体的な対策について、解説します。

目次
1.コミュニケーション能力とは?
まず「コミュニケーション能力」とは何かを簡単に説明しましょう。
コミュニケーション能力とは、「相手の話を理解し、自分の考えや気持ちを適切に伝える力」のことです。
これは単に「おしゃべりが上手」なだけではなく、「相手の気持ちを想像して、言葉を選ぶ」「表情や声のトーンから意図を読み取る」といった、非言語的な部分も含まれます。
たとえば、友達が「今日つかれた〜」と言った時に、「そうなんだ、大変だったね」と返すのは、相手の気持ちをくみ取る力があるからできるのです。これも立派なコミュニケーション能力です。
2.なぜ子供のコミュニケーション能力が低下しているのか?
①デジタル機器の普及
スマートフォンやタブレットの使用が小さな子どもにも広がっています。
SNSの普及、YouTubeやゲームに夢中になる時間が増える一方で、「人と会話をする時間」が減ってしまっています。
言葉のやり取りは「キャッチボール」に似ています。相手が投げたボール(言葉)を受け取って、自分も投げ返す。
この練習をしないと、ボールを受け取れなくなってしまいます。タブレットは一方的に情報を「見せる」だけなので、キャッチボールの練習ができないのです。
②コロナ禍による交流の減少
2020年1月16日、国内で感染者が初めて確認された新型コロナウイルスの流行によって、外で遊ぶ、友達と集まるといった機会が激減しました。子どもたちは成長の過程で、人との関わりを通して言葉の使い方やタイミングを学びますが、その経験がごっそり抜け落ちてしまった世代が存在しています。
③大人との会話不足
忙しい現代では、両親が共働きの家庭が増えて仕事や家事で手一杯になりがちです。
「はい」「だめ」「早くして」といった短い言葉で済ませてしまい、子どもの話をゆっくり聞く時間が少なくなっています。
言葉の力は、身近な大人との「対話」を通して育まれます。「対話」とは、質問して返事を待つ、気持ちを受け止めて反応するという双方向のやりとりです。テレビや動画ではこの「双方向のやりとり」ができないため、会話力は育ちにくくなります。
3.子どもがコミュニケーション能力を持つことのメリット
子どもの頃からこの「橋をかける力」を育てることで、さまざまなメリットがあります。ここでは、代表的なものをいくつか紹介します。
①友達との関係がスムーズになる
子どもにとって友達との関係は、社会性を育てる大切な場です。お互いに「どんなことがうれしいのか」「何をされたら嫌か」を言葉で伝え合うことで、トラブルを回避したり、より仲良くなったりすることができます。
実例:
たとえば、おもちゃの取り合いになった時、「それ、使いたいんだけど、あとで貸してくれる?」と言える子と、「だめ!」とだけ言ってしまう子では、その後の人間関係に大きな差が出てきます。
②自己肯定感が育つ
自分の気持ちや意見を受け止めてもらえる体験が増えると、「自分は受け入れてもらえる」「大事にされている」と感じるようになります。これは、**自己肯定感(自分を価値ある存在だと感じる気持ち)**の土台になります。
自己肯定感が高い子どもは、失敗してもくじけず、チャレンジする力も育ちやすくなります。
③学校生活でのトラブルを防ぎやすくなる
先生やクラスメートとの間で、小さな誤解やすれ違いがあっても、それを言葉でうまく説明できれば、トラブルを大きくすることなく解決できます。
補足説明:
実際、小学校でのトラブルの多くは「言いたいことがうまく伝えられなかった」「相手の気持ちを想像できなかった」ことが原因です。つまり、コミュニケーション力が高いと、そういった問題を未然に防げる可能性が高くなるのです。
④将来の社会性・職業能力にもつながる
大人になってからも、職場や家庭などあらゆる場面でコミュニケーションは必要です。どれだけ知識やスキルがあっても、「人とうまくやっていけない」と苦労するケースは少なくありません。
子どものうちから、「人と話す」「聞く」「伝える」といった力を伸ばしておくことは、社会で生きていくための土台作りでもあるのです。

4.対策と家庭でできる工夫
では、どうすれば子どものコミュニケーション能力を伸ばせるのでしょうか?家庭でできることをいくつか紹介します。
① 意識して「会話の時間」をつくる
夕食中の「今日、どんなことがあった?」という何気ない一言でもかまいません。子どもが自分の言葉で話す機会を増やすことが大切です。
ポイント:
・すぐに結論を求めない
・話の途中で口をはさまない
・最後まで話を聞く
このように「話しやすい空気」をつくることで、子どもは安心して言葉を使えるようになります。
②一緒に絵本を読む・読んでもらう
絵本は「言葉の宝庫」です。登場人物の気持ちを想像しながら読むことで、語彙力だけでなく、感情を言葉で表す練習にもなります。

アドバイス:
「この子、どんな気持ちだったと思う?」と問いかけることで、気持ちを言葉にする力が育ちます。
③デジタル時間をコントロールする
完全にやめさせるのは現実的ではありませんが、「見る時間」と「人と話す時間」のバランスを取ることが大切です。親子でルールを作り、納得したうえで運用するのが理想です。
5.おわりに
子どものコミュニケーション能力は、自然には育ちません。
家庭や日常の中で「人と関わる経験」を通して、少しずつ伸びていくものです。私たち大人が「言葉のキャッチボール」を意識的に増やしていくことで、子どもたちの未来の力を育てていくことができます。
まずは今日、子どもに「最近楽しかったことある?」と聞いてみるところから始めてみませんか?


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